[リビング] 土岐綾乃 : 机の上にお汁粉が二つ乗ったおぼんを起き、椅子に座る。
[リビング]
ゆかりさん :
「…ん」
それに続いて、一緒に座る
[リビング]
土岐綾乃 :
「あたしの姿をしっかり見ておきなよゆかりちゃん」
[リビング] 土岐綾乃 : 「これが"敗北者"だ」
[リビング] ゆかりさん : 「えっ?」
[リビング]
ゆかりさん :
「んな、いきなり何言ってんです…」
苦笑いしつつ
[リビング] 土岐綾乃 : 「慢心してたらこたつヒロインレースから叩き落とされた敗北者なんだよ今の私は」
[リビング] 土岐綾乃 : 「絶賛傷心中なんだよー……」
[リビング]
ゆかりさん :
「さいでっか」
[リビング] ゆかりさん : 「…んで、慰めろとな」
[リビング]
土岐綾乃 :
「うう………う……………」
わざとらしすぎる泣き真似を見せる。
[リビング] ゆかりさん : いきなり何を言い出したかと思えば、なんかその、なんだろう
[リビング] ゆかりさん : って、なんで泣きだすんですかぁ!
[リビング] ゆかりさん : 「ああもう、わかりましたってぇ!」
[リビング] ゆかりさん : 皿を持って一度立ち上がり
[リビング] ゆかりさん : 隣に座り直す
[リビング]
土岐綾乃 :
おっと予想外。
[リビング] 土岐綾乃 : 「………あっはっはっ」
[リビング] ゆかりさん : 「んで、どうしましょうかお嬢様」
[リビング] 土岐綾乃 : 「やっぱりゆかりちゃん優しいよねー」
[リビング] ゆかりさん : 「…そらまぁ、目の前で泣き出すんですし」
[リビング] 土岐綾乃 : 「まっ、さっきの全部冗談だからお汁粉食べよっか」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング]
ゆかりさん :
「じょう、だん」
何とも言えない顔
[リビング]
ゆかりさん :
「…はいさ」
脱力したように、箸を突く
[リビング] 土岐綾乃 : 「ごめんねゆかりちゃん、余計な気使わせちゃって」
[リビング] ゆかりさん : 「何がですさ」
[リビング] ゆかりさん : 「…僕は別にまぁ」
[リビング] ゆかりさん : 「いいんですけも」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ふっふっふ…そういう事言うとあたし調子乗っちゃうから気を付けなよー」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング] ゆかりさん : 「そんなもん前から知ってまさぁよ」
[リビング] ゆかりさん : 「…僕は」
[リビング] ゆかりさん : 「そうされても、別に」
[リビング] ゆかりさん : 「いやじゃないです、し」
[リビング] 土岐綾乃 : 「そっか」
[リビング]
土岐綾乃 :
「ゆかりちゃんのそう言ってくれる所、」
[リビング] 土岐綾乃 : 「あたし好きだよ」
[リビング] ゆかりさん : 「ん」
[リビング] ゆかりさん : ......
[リビング] ゆかりさん : あうあうあうああああ…
[リビング] ゆかりさん : 机に突っ伏す、顔が熱い
[リビング] ゆかりさん : 何言ってんだろ僕ぁ
[リビング] ゆかりさん : 「綾乃さん、さ」
[リビング] ゆかりさん : 「わかってたりする?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「んー……?」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング] 土岐綾乃 : 「んー…………」
[リビング] ゆかりさん : 「だって、んな」
[リビング] ゆかりさん : 「そんな返し」
[リビング] ゆかりさん : 「ずるい」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ずるい……まあそうかもしれないね」
[リビング]
土岐綾乃 :
「うん、知ってるよ」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング]
土岐綾乃 :
「あたしがだらしなさすぎて……」
[リビング] 土岐綾乃 : 「……ゆかりちゃんが特別あたしに世話焼いちゃってる事」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング] ゆかりさん : うぁ
[リビング] ゆかりさん : いや
[リビング] ゆかりさん : 言わないと、多分
[リビング] ゆかりさん : 僕は言いたくない気がしたけど、でもその
[リビング] ゆかりさん : 勘違いされたくない、から
[リビング] 土岐綾乃 : 「まっ、これからもよろしくねー」
[リビング] ゆかりさん : 席を立って、ぐっと距離を詰める
[リビング] ゆかりさん : 「違いますけど」
[リビング] 土岐綾乃 : 「……どしたの?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ん?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「………………」
[リビング] ゆかりさん : 「僕は」
[リビング] ゆかりさん : 「したいからしてます」
[リビング] ゆかりさん : 「したいから世話焼けるようにしてます」
[リビング] ゆかりさん : 「貴女のせいじゃないです、僕がそうしてたんです」
[リビング] ゆかりさん : 「だって、その方が、近くに居れますから」
[リビング] ゆかりさん : 声が震える
[リビング] ゆかりさん : 外に出す気の無かった、どうにも醜い本音
[リビング] ゆかりさん : いい子のフリして隠してた、狡い考えだ
[リビング] ゆかりさん : 「僕ぁ、その」
[リビング] ゆかりさん : 「そのお…」
[リビング]
ゆかりさん :
「好いちゃったから、気になるから」
傍に行った手前、何だか気後れして後ずさり
[リビング]
ゆかりさん :
「…そう、してたんです…だから」
だから、えっと
[リビング] ゆかりさん : 「貴女は悪くない…ので」
[リビング]
土岐綾乃 :
「…………………そっかー。うん、」
[リビング] 土岐綾乃 : 「………………」
[リビング]
土岐綾乃 :
「ありがとうゆかりちゃん」
[リビング] 土岐綾乃 : 「…嬉しい」
[リビング] ゆかりさん : 「うぁ」
[リビング] ゆかりさん : 「嬉しい?」
[リビング] ゆかりさん : 「…なんか、え」
[リビング] ゆかりさん : 後先考えてなかった、というか
[リビング] ゆかりさん : 私は、ただ
[リビング] ゆかりさん : 悪く思ってほしくなかっただけで
[リビング] ゆかりさん : 嫌われるかもとか、思ってたけど、も
[リビング] 土岐綾乃 : 「ちょっとねー、あれだけど。」
[リビング]
土岐綾乃 :
「あたしね、」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ゆかりちゃん相手だから、やり過ぎちゃう所あるから」
[リビング] ゆかりさん : 「ん、あ、はい」
[リビング] ゆかりさん : 「…やりすぎ、ですか」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ゆかりちゃん相手なら、これぐらいしちゃってもいいかなーって、思うところあるんだ」
[リビング] 土岐綾乃 : 「特別かも」
[リビング] ゆかりさん : 「…う、あ」
[リビング] ゆかりさん : 「とくべ、つ」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング] ゆかりさん : 「ぼく」
[リビング] ゆかりさん : 「気味悪く無かったです?」
[リビング]
土岐綾乃 :
「んー………?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「気味悪いって、何が?」
[リビング] ゆかりさん : 「いや」
[リビング] ゆかりさん : 「だって」
[リビング] 土岐綾乃 : 単純な疑問を浮かべた顔で
[リビング] ゆかりさん : 「僕ぁ、年上だし…」
[リビング] ゆかりさん : 「なんか、凄い」
[リビング] ゆかりさん : 「狡い考えで、傍に居たんですよ?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ずるいー…?」
[リビング] ゆかりさん : 「だって、その」
[リビング] ゆかりさん : 口に出そうとして
[リビング] 土岐綾乃 : 「うーん………」
[リビング] ゆかりさん : 嫌になる、自分のこの
[リビング] 土岐綾乃 : 「ふふっ………」
[リビング] ゆかりさん : 卑屈な、感覚に…
[リビング] ゆかりさん : 「…ぅ」
[リビング] 土岐綾乃 : 「やっぱりそう」
[リビング] 土岐綾乃 : 「あたしゆかりちゃんのそういう所好き」
[リビング] ゆかりさん : 「やっぱり?」
[リビング]
ゆかりさん :
「…」
ドキリとする
[リビング] ゆかりさん : 特別だと言って
[リビング] ゆかりさん : 好きとも言われて
[リビング] ゆかりさん : 信じがたいのに、でも
[リビング] ゆかりさん : 目の前だから、思考が追い付かない
[リビング] ゆかりさん : 「その、えっと」
[リビング] ゆかりさん : 「どういう」
[リビング]
土岐綾乃 :
「どういうって……」
[リビング] 土岐綾乃 : 「まあゆかりちゃんとは随分な仲だしね」
[リビング] ゆかりさん : 「…まぁ、そうです、けども」
[リビング] 土岐綾乃 : 「まあワシと一緒にお汁粉食べておちつきたまへよ、ばあさんや」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング] ゆかりさん : 「わかり、ました」
[リビング] ゆかりさん : ゆっくりと、温かいあんこと餅を齧る
[リビング] ゆかりさん : 「…甘いですね、ほんのりと」
[リビング] 土岐綾乃 : 「はー……うまうま………」
[リビング] ゆかりさん : 「おいしいです?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「おいしいよー」
[リビング] ゆかりさん : 「そりゃあ、よかった」
[リビング]
ゆかりさん :
「貴女がおいしいのなら、なにより」
ぼそり、そう言う
[リビング] ゆかりさん : あそこまで言ったんだし
[リビング] ゆかりさん : もうそういうの、隠す方が悪いでしょ
[リビング]
土岐綾乃 :
「はいはーい、ゆかりちゃんの気持ち受け取ったよー」
[リビング] ゆかりさん : 「…受け取ってくれるんです?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「……ん?」
[リビング] ゆかりさん : 「僕だと、困りません?」
[リビング] ゆかりさん : 「こんなのなのに」
[リビング] 土岐綾乃 : 「んー……」
[リビング]
土岐綾乃 :
「よくわかんないけど」
[リビング]
土岐綾乃 :
「ゆかりちゃんのすることなら、」
[リビング] 土岐綾乃 : 「私困らないと思うよ」
[リビング] ゆかりさん : 「…」
[リビング] ゆかりさん : それは
[リビング] ゆかりさん : 「それは」
[リビング] ゆかりさん : こんな…
[リビング] ゆかりさん : 「…こんな事でも」
[リビング]
ゆかりさん :
「大丈夫ですか?」
大丈夫ですか?
[リビング] ゆかりさん : ぐっと、顔を寄せる
[リビング] ゆかりさん : 彼女の、穏やかな表情を、目前にする
[リビング]
土岐綾乃 :
ゆかりの行動に少し驚きつつも、それを表情には出さない。
[リビング] 土岐綾乃 : あまり表情を崩さないまま、ゆかりの事をまっすぐ見る。
[リビング] ゆかりさん : 「…僕ぁ」
[リビング] ゆかりさん : 「こんな事したいです」
[リビング] ゆかりさん : 「もっとしたいというのもあります」
[リビング] ゆかりさん : 「拗らせてるので、それ以上かもです」
[リビング] ゆかりさん : 「それでもでしょうか」
[リビング] 土岐綾乃 : ……………………
[リビング]
土岐綾乃 :
そっか
ゆかりちゃん、
[リビング] 土岐綾乃 : …………………
[リビング] 土岐綾乃 : …………………………
[リビング] 土岐綾乃 : 私は
[リビング] 土岐綾乃 : 「……いいよ」
[リビング] ゆかりさん : そんな
[リビング] ゆかりさん : とっても短くて
[リビング] ゆかりさん : でも
[リビング] 土岐綾乃 : 目線をそらさず、はっきりと言う
[リビング] ゆかりさん : ずっと待ってしまったような返事に
[リビング] ゆかりさん : 一歩
[リビング] ゆかりさん : 一歩
[リビング] ゆかりさん : 前に
[リビング] ゆかりさん : 顔と、顔が
[リビング] ゆかりさん : 触れ合いそうな程
[リビング] ゆかりさん : 踏み込んで
[リビング] ゆかりさん : "いい、です、よね"
[リビング] ゆかりさん : そんなことを
[リビング] ゆかりさん : 彼女に声もなく問う
[リビング]
土岐綾乃 :
………うん、大丈夫。
だって、ゆかりちゃんだから。
[リビング] 土岐綾乃 : ………ううん、
[リビング]
土岐綾乃 :
ゆかりちゃんがそうしてくれることがきっと、
[リビング] 土岐綾乃 : 私にとっては、凄く嬉しいから
[リビング]
土岐綾乃 :
「………」
来て。
[リビング] ゆかりさん : 返事は、聞こえない
[リビング] ゆかりさん : でも
[リビング] ゆかりさん : 聞えなくていい
[リビング] ゆかりさん : 彼女は
[リビング] ゆかりさん : …そう
[リビング] ゆかりさん : 僕が、今
[リビング] ゆかりさん : 信じている彼女は
[リビング] ゆかりさん : 私を
[リビング] ゆかりさん : あいしてくれるって
[リビング] ゆかりさん : しんじて
[リビング] ゆかりさん :
[リビング] ゆかりさん :
[リビング] ゆかりさん : ちゅ
[リビング] ゆかりさん :
[リビング] ゆかりさん :
[リビング] ゆかりさん : 暖かく
[リビング] ゆかりさん : 触れ合って
[リビング] ゆかりさん : 静かに
[リビング] ゆかりさん : 離れた
[リビング] 土岐綾乃 : 私が今までゆかりちゃんの事どう思ってたか、多分ちょっと前までの私に聞いても、はっきりした答えは帰ってこなかったと思う。
[リビング] 土岐綾乃 : だって、ゆかりちゃんの事どう思ってたか、ちょっと前までの私には分かってなかっただろうし。
[リビング] 土岐綾乃 : ………今なら分かるよ。
[リビング] 土岐綾乃 : 今の私なら
[リビング] 土岐綾乃 : ちょっと前までの私が、ゆかりちゃんの事をどう思ってたのかが。
[リビング] 土岐綾乃 : 私はゆかりちゃんの事が好きだった。
[リビング] 土岐綾乃 : 多分かなり前から、ずっと。
[リビング] 土岐綾乃 : そして今、私は、
[リビング] 土岐綾乃 : ゆかりちゃんの事が好き。
[リビング] ゆかりさん : 僕は
[リビング] 土岐綾乃 : 今も昔も、ゆかりちゃんの事が好き。
[リビング] ゆかりさん : 何も声を出さず、何も示してはいない
[リビング] ゆかりさん : だけど
[リビング] ゆかりさん : ぐっと
[リビング] ゆかりさん : 彼女を抱いて、彼女そすぐ傍に行って
[リビング] ゆかりさん : そんで
[リビング] ゆかりさん : 言ってやったんだ
[リビング] ゆかりさん : 「愛してる、から」
[リビング] ゆかりさん : 絞りだしてやった、僕は言った
[リビング] ゆかりさん : 考えるより先に
[リビング] ゆかりさん : やっと
[リビング] 土岐綾乃 : 何もせずに、全て委ねるように、ゆかりの行動を受け止めた。受け入れた。
[リビング] 土岐綾乃 : そしてその言葉をしっかりと聞き入れて、言葉を返した。
[リビング]
土岐綾乃 :
「……私もだよ、ゆかりちゃん」
[リビング] 土岐綾乃 : 「愛してる」
[リビング] ゆかりさん : 「うぇへ」
[リビング] ゆかりさん : 「えへへへ」
[リビング] ゆかりさん : 「僕も、僕も」
[リビング] ゆかりさん : 「ずっとでしたから」
[リビング] 土岐綾乃 : 「そっか」
[リビング] ゆかりさん : 「嬉しいです」
[リビング] ゆかりさん : 「嬉しい、です」
[リビング]
ゆかりさん :
「夢みたい…」
こぼれた言葉は、まるで子供だ
[リビング]
土岐綾乃 :
ゆかりちゃんに対して浮かんだ言葉。
その言葉を返すことを、一瞬迷った。
[リビング]
土岐綾乃 :
だって本当の事とまでは
言えなかったから。
[リビング]
土岐綾乃 :
ずーっと、気づいてなかったから。
[リビング]
土岐綾乃 :
でもそんな考えはすぐに消え、
言う決心がついた。
[リビング]
土岐綾乃 :
だってこの気持ちは、
[リビング]
土岐綾乃 :
今まであたしが抱いてた気持ちは、
[リビング] 土岐綾乃 : ………絶対に、嘘なんかじゃないから。
[リビング] 土岐綾乃 : 「私もだよ」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ずっと前から、ゆかりちゃんの事が」
[リビング] 土岐綾乃 : 「好き」
[リビング] ゆかりさん : 笑みが
[リビング] ゆかりさん : 零れる
[リビング] ゆかりさん : 「…綾乃さん」
[リビング] ゆかりさん : 「綾乃さん、綾乃さん」
[リビング] 土岐綾乃 : 「うん、うん」
[リビング] ゆかりさん : 「僕、幸せです」
[リビング] 土岐綾乃 : 「そっか」
[リビング] ゆかりさん : 「だけど、もっと幸せになりたいです」
[リビング] ゆかりさん : 「だから」
[リビング] ゆかりさん : 「今日ずっと、傍に居ても」
[リビング] 土岐綾乃 : 「うん、」
[リビング] ゆかりさん : 「いいですか?」
[リビング] 土岐綾乃 : 「いいよ」
[リビング] 土岐綾乃 : 「あたしも、そうしたい」
[リビング] ゆかりさん : 抱く手を強める
[リビング] ゆかりさん : 顔を彼女に埋めて
[リビング] ゆかりさん : 「えへへ」
[リビング] 土岐綾乃 : ゆかりの背中に、やさしくそっと、両手を添える。
[リビング] ゆかりさん : 「ずっと一緒です」
[リビング] ゆかりさん : 「ずーっと」
[リビング] ゆかりさん : 「僕、僕は」
[リビング] ゆかりさん : 「そうしたいですから」
[リビング] 土岐綾乃 : 「うん」
[リビング] 土岐綾乃 : 「好きなだけしていいよ」
[リビング] 土岐綾乃 : 「私もそうするから」
[リビング] 土岐綾乃 : 「今まで通り」
[リビング] 土岐綾乃 : 「……違うね」
[リビング] ゆかりさん : 「はい」
[リビング] 土岐綾乃 : 「今までよりも、もっと」
[リビング] ゆかりさん : 「もっと」
[リビング]
土岐綾乃 :
「私からも言うね」
[リビング] 土岐綾乃 : 「ずっと、一緒だよ」
[リビング] ゆかりさん : 頷いて、抱きしめて
[リビング] ゆかりさん : 深く、その感触を確かめた
[リビング] ゆかりさん : 煙じゃない、確かだった
[リビング] ゆかりさん : 傍に居た彼女は、傍に居てくれた
[リビング] ゆかりさん : もう、寂しくはない
[リビング] ゆかりさん : 彼女を信じているから、信じて良いのだから
[リビング] ゆかりさん : 僕は、僕は…
[リビング] ゆかりさん : ふと、息を、吐いて
[リビング] ゆかりさん : 吐いて
[リビング] ゆかりさん : そんで、言葉にする
[リビング]
ゆかりさん :
"愛してます"
"大好きです"
"一緒に居ましょう"
[リビング] ゆかりさん : そうやって
[リビング] ゆかりさん : 信じたのだった──
[リビング] ゆかりさん :
[リビング] ゆかりさん :